同族会社の役員さまが病気あるいはけがによる療養のために、休業されたとき、休業期間中の役員報酬はどのようにしたらいいのでしょうか。
 社会保険の被保険者であった場合、休業期間中の給料がうけられない場合、傷病手当金が受けられる場合があります。
 しかし、法人税法上、役員報酬は定期同額給与か事前確定届出給与が原則とされ、会計期間中に自由に報酬の額を変更できなくなっています。もし税法上の要件を満たさなければ、その会計期間中に支払われた報酬の全額が(役員個人単位で考えます)法人の所得計算上、損金算入ができないとされています。その場合、報酬には個人の所得税と法人所得にかかる法人税と二重に課税されることになります。
 では、役員報酬を従前どおり支給し、どんなに高額の社会保険料を負担していようとも、傷病手当金はうけられないのでしょうか。 しかも手当金には所得税はかかりません。役員報酬を減額した分で、代替人員の人件費にあてることもできます。
 
 実は、役員の方でも休業期間の報酬を減額し、傷病手当金をうけることができるのです。

 平成19年度税法改正により、職制上の地位の変更ややむを得ない事情により、職務内容に重大な変更があった場合の報酬額の改定は臨時改定として、定期同額給与と同じ扱いをすることが、明確化されたのです。
 なので、休業期間中は、常勤役員から非常勤役員への変更として、報酬を減額し、復帰したあとには、非常勤役員から常勤役員への変更として、またもとの額に戻しても、役員報酬の全額が損金算入できることになりました。

では、どのような場合でも傷病手当金給付手続きをとったほうがいいのでしょうか。
 それが、そうでもないのです。

 まず、役員報酬の減額のぶんだけ、役員さん個人にかかる所得税は低くなります。
そのかわり、代替人員の人件費は増えるかもしれませんが、役員報酬減額の分だけ会社の所得が増加し、それにかかる法人税は高くなります。
 そのうえ、会社の所得が増加すれば、特殊支配同族会社規制の適用をうける可能性が高くなります。そのため次年度以後に高額の法人税を納めなくてはならない、ということにもなりかねません。
 うけられる手当の額、所得税、法人税の増減額、次年度以後のリスクを勘案して、方針を決めないといけないことになります。
 役員さまも従業員さんも健康第一ですが、万一の場合には、ご確認ください。